中国の「グレート・ファイアウォール(金盾)」は、インターネット利用に大きな混乱をもたらす存在である。YouTubeやXをはじめ、多くの海外サービスが制限されており、中国で“普通のデジタル生活”を送るのは簡単ではない。
では、世界で最も利用されているメールサービスの一つである Gmail は、中国で使えるのだろうか。
本記事では、中国におけるGmailの利用可否を整理したうえで、実際に中国からGmailへアクセスする方法を解説する。政府の規制がある中でも、Gmailを使う方法は存在する。その現実的な手段を紹介していく。
中国でGmailは使えるのか?結論から言うと
結論から言えば、中国では通常の方法ではGmailは使えない。
旅行者、駐在員、中国で働く外国人、そして中国国内のユーザーにとっても同様である。
その背景は2010年に遡る。
当時、Googleと中国政府の間で大きな対立が発生した。中国政府は、国内ユーザー向けに検索結果の検閲を強化するようGoogleに要求したが、Googleは「インターネットの自由」を理由にこれを拒否。結果として、中国本土向けの検索を香港経由に切り替える対応を取った。
これにより両者の関係は急速に悪化し、中国当局はGoogle関連サービスに対して段階的な締め付けを強めていくことになる。
Gmailが中国で使えなくなるまでの経緯
緊張が高まる中、Gmailは中国国内で頻繁に障害を起こすようになった。
接続不能や大規模な遅延が繰り返され、ユーザーは次第に他の安定したメールサービスへと流れていった。
特に象徴的だったのが、2014年12月の大規模障害である。年末という最悪のタイミングでGmailがほぼ使用不能となり、実用性は大きく損なわれた。
当初は、POP3やSMTP転送といった簡易的な回避策も存在したが、これらは長続きしなかった。最終的に、Gmailは中国本土で事実上ブロックされる状態となったのである。
ただし、ここで話は終わらない。
「上に政策あれば下に対策あり」という中国の言葉通り、すぐに中国でGmailを使う方法がユーザーによって拡散され、それから10年以上経った中国では、この状況は大きく変わっている。
中国からGmailにアクセスする唯一の現実的な方法
現時点で、中国からGmailを利用する最も確実な方法はVPNの使用である。
VPN(Virtual Private Network)は、通信を暗号化し、利用者のIPアドレスや位置情報を隠したうえで、海外のサーバー経由でインターネットに接続する仕組みだ。
世界中で以下のような目的で利用されている。
- プライバシー保護
- 公共Wi-Fi利用時のセキュリティ確保
- 動画配信サービスの地域制限回避
中国では、検閲を回避し海外サービスに接続する手段として使われている。
Gmail利用に向いたVPNの選び方
重要なのは、「どのVPNでも良いわけではない」という点である。
中国政府は長年にわたりVPN対策を続けており、多くのVPNがブロックされてきた。現在もVPNと当局の間では“いたちごっこ”が続いている。
そのため、中国で使うVPNには以下が求められる。
- グレート・ファイアウォール(金盾)の仕組みを理解している
- プロトコルや接続方式の更新が頻繁
- 実際に中国で動作実績がある
一般的に、中国でGmailを利用する際に候補として挙がるVPNには以下がある。
| チェック項目 | UCSS | 1coinVPN | かべネコVPN |
|---|---|---|---|
| 1年間の利用料金 | US$108 / 年〜 | 約360 CNY / 年 | 約5,760円 / 年 |
| 月額換算(円) | 約1,395円 / 月 | 約660円 / 月 | 約480円 / 月 |
| 1ヶ月の利用料金 | ❌(3ヶ月〜) US$36 / 3ヶ月 | ⭕ 約30 CNY / 月 | ⭕ 約880円 / 月 |
| 使用可能台数 | 3〜5台(プラン依存) | 7台 | 4台 |
| BitTorrent | △(特定サーバーのみ) | ⭕ | ⭕ |
| Netflixに対応 | ⭕(日本・米国) | ⭕(日本・米国) | ⭕(日本) |
| 日本の動画サイトに対応 | ◎ DAZN / Hulu 等ほぼ全対応 | ⭕ 主要サービス | △ 一部のみ |
| 設定が簡単か | ★★★★☆(日本語サポートあり) | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| アプリの品質 | ★★★★☆〜★★★★★ (iOSは★5) | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 速度と安定性 | ★★★★★★ 中国特化で最上位 | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
| 全額返金保証期間 | ❌(試用なし) | ⭕ 14日 | ⭕ 30日 |
| 公式サイト | UCSS 公式サイト | 1coinVPN 公式サイト | かべネコVPN 公式サイト |
※月額換算(円)は目安です(例:1USD=155円、1CNY=22円で概算)。為替・キャンペーンにより変動します。
これらは政府のフィルタを回避し、Gmailにアクセスできる有名なVPNであり、私自身毎日中国で使用している。
無料VPNはおすすめできない理由
検索すると「無料VPN」が数多く見つかるが、中国利用に関してはおすすめできない。
理由は明確である。
- 中国では基本繋がらない
- ログ保存やデータ販売など、プライバシー面の懸念
特に中国のような規制の厳しい環境では、無料VPNは実用性・安全性ともに不安が大きい。
一方で、必ずしも最も高額なVPNを選ぶ必要はない。多くの有料VPNには返金保証や無料トライアルがあるため、実際に中国で使えるかを試してから判断するのが現実的である。
中国でVPNを使ってGmailにアクセスする際の注意点
VPNを契約しただけでは十分ではない。安定してGmailを使うためには、以下のポイントを押さえておく必要がある。
- VPNは複数用意する
一時的に接続できなくなることは珍しくない。予備のVPNがあると安心だ。 - 返金保証付きのVPNを選ぶ
万一使えなかった場合の保険として有効である。 - 焦らず待つ
接続が遅い、最初は繋がらない、といったケースもあるが、時間を置くと改善することも多い。 - 通信量に現実的な期待を持つ
大容量動画の送受信は難しい場合がある。テキスト中心の利用が無難である。 - 必ず中国入国前にVPNを準備する
中国国内からVPNサイトへアクセスするのは非常に困難である。事前準備は必須だ。
国際ローミングでGmailを使う

VPNを使わずにGmailに接続する方法がもう一つある。
それは、日本のeSIMやSIMカードを挿したまま国際ローミングを使いGmailを使う方法だ。
国際ローミングを使い中国国内でGmailを使う方法はとても簡単で、新たに契約が必要なわけでもない。
ただ注意したいのが国際ローミングによる「パケ死」だ。国際ローミングは、日本で使うよりもネット接続費用が爆発的に増える。
大手3社の中には海外定額サービスもあるので考慮できる。こちらにリンクを貼っておくのでご参考にしていただきたい。
私は楽天モバイルを使い、海外接続しているが問題なく中国でGmailを開けている。
楽天モバイルであれば、2GBまでは料金内で使えるし、ギガが必要な時には1GBずつ購入できるので短期の旅行者にもおすすめだ。
まとめ:中国でもGmailは使えるが、準備がすべて
中国のネット検閲は世界でもトップクラスに厳しい。しかし、適切なVPNを使えばGmailへのアクセスは可能である。
これから中国へ渡航・赴任する予定があるなら、答えはシンプルだ。
渡航前に、信頼できるVPNを準備しておくこと。
それが、中国でもGmailを使い続けるための唯一の現実解である。




コメント